小説の森を歩く

読んだ本の感想などを、心のままに綴っています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

誰も知らない夜に咲く(桜木紫乃)

桜木紫乃作「誰も知らない夜に咲く」を読んだ。少し前に(数ヶ月前だろうか)ラジオ番組の朗読でこの作家の、たしか「冬ひまわり」という短編を聞いた。(冬ヒマワリ、又は冬向日葵、かもしれない)その物語が心にしみて、以前読んだこの作家の「ホテルローヤ…

旅する練習 (乗代雄介)

乗代雄介著「旅する練習」を読んだ。 風景描写の多い本だった。タイトルに「旅する」とあるように、目的地までの旅の道程を軸としていて、旅の中で目にする景色が次々と描かれていた。 そのことと関係があるかどうかはわからないのだか、私にとってこの本は…

心淋し川 (西條奈加)

2020年下半期直木賞受賞作品「心淋し川」を読んだ。 時代小説を読むと、人が人を思う気持ちや人生のままならなさは、いつの時代も変わらずにあって、だからこそ物語が生まれるのだな、と思う。 何の変哲もない暮らしの中で、ある日突然、巻き込まれるように…

星の子 (今村夏子)

今村夏子著の「星の子」を読んだ。 以前、デビュー作の「こちら、あみ子」や、短編集の「あひる」も読んでいて、ひょっとするとこの作家は誰も書こうとしなかったことを、或いは書こうとしても書けなかったことを、書いているのかもしれない、と感じていた。…

格闘するものに○ (三浦しをん)

三浦しをんさんのデビュー作「格闘するものに○」を読んだ。 言わずと知れた人気作家である。ご本人がラジオのインタビューで語っているのを聞いたのだが、就職活動の際に出版社を受けたのがデビューの発端だとのこと。筆記試験に含まれていた作文の欄で披露…